時系列分析と回帰分析
学習目標
- 移動平均の計算ができ、期間の端で計算できない理由を説明できる。
- 散布図と回帰直線、相関係数の意味を説明できる。
- 検量線の式から、未知の濃度を求められる。
| 学習の作業 | 時間の目安 |
|---|---|
| 読む(時系列、移動平均) | 15分 |
| 例を追う(移動平均の計算) | 10分 |
| 読む(散布図、回帰、相関係数、最小二乗法) | 20分 |
| 自力演習(段階別の練習) | 25分 |
| 振り返り | 5分 |
1. 時系列分析(移動平均)
時間とともに変わる量を時間順に並べたものを時系列データといいます。細かな変動をならして傾向を見るために、移動平均を使います。例えば5年間の移動平均は、ある年を中心とした5年間の平均を、その年の値とします。
例: 1980〜1984年の平均気温は 10.9, 10.6, 11.4, 11.1, 10.6。その平均は 54.6 ÷ 5 = 10.92。1982年の移動平均は 10.92 となる。前後2年ずつは計算できないため、最初と最後の2年の移動平均は求められない。
2. 散布図と回帰直線
2つの変数の関係を、点の散らばりで表したものを散布図といいます。点の並びが直線に近いとき、その関係を直線回帰(一次関数)で近似します。近似した直線を回帰直線といいます。直線以外の関数(モデル関数)で近似することもあります。
3. 相関係数
変数どうしの直線的な関係の向きと強さは相関係数 r で表します。r は −1 から 1 の値をとり、|r| が 1 に近いほど直線的な関係が強く、0 に近いほど弱くなります。r が正なら右上がり、負なら右下がりです。r が 0 でも曲線的な関係がある場合があるため、「関係がない」とは限りません。また、相関があっても因果関係があるとは限りません。
4. 最小二乗法と検量線
データに最もよく合うモデル関数は、最小二乗法で求めます。各データと直線の差(残差)の2乗の合計が最も小さくなる直線を選びます。
検量線の例: 濃度(x)と吸光度(y)の関係が y = 0.2012x + 0.0034 のとき、吸光度 0.176 の溶液の濃度は (0.176 − 0.0034) ÷ 0.2012 ≈ 0.86 mg/mL。
段階別の練習
易(基本の確認)
- 5年間の移動平均で、最初の2年の値は求められるか。
答えと解き方
求められない(前後2年ずつのデータが必要)。 - 相関係数 r が 0 に近いとき、何と言えるか。
答えと解き方
相関がほとんどない。
標準(手順を組み合わせる)
- ある年の前後2年の平均気温が 10, 11, 12, 13, 14 のとき、移動平均は。
答えと解き方
(10+11+12+13+14) ÷ 5 = 12。 - r = −0.8 の散布図は、どんな傾向か。
答えと解き方
右下がり(一方が増えると他方が減る)で、相関が強い。
共通テスト形式(読み取りと判断)
- 相関係数が強い相関を示しても、「原因と結果の関係がある」と言えない理由を1つ答えなさい。
答えと解き方
相関は関係の強さを表すだけで、因果関係は別途確かめる必要があるため。 - 検量線 y = 0.2012x + 0.0034 で、濃度 2.00 mg/mL の吸光度はいくつか。
答えと解き方
0.2012 × 2.00 + 0.0034 = 0.4058 ≒ 0.406。
振り返り
- 移動平均で端の値が求められない理由を、期間の数で説明できましたか。
- 相関係数の符号と大きさを、散布図の形で説明できましたか。