情報I 学習サイト
範囲外(発展)75分

正規分布と仮説検定

範囲外の発展教材
正規分布・標準化・仮説検定は共通テスト情報Iの出題対象外です。
学習目標
学習の作業時間の目安
読む(正規分布と標準化)15分
例を追う(Z検定)15分
例を追う(対応のあるt検定)20分
自力演習と振り返り25分

1. 正規分布と標準化

平均の近くに多くの値が集まり、平均から離れるほど少なくなる左右対称の分布を正規分布といいます。値 x を平均と標準偏差で標準化すると、平均0・標準偏差1の標準正規分布上の位置(Z値)で比較できます。

標準化

Z = (x − μ) / σ

μ は平均、σ は標準偏差です。Z=1 は平均より標準偏差1個分大きい位置、Z=−2 は2個分小さい位置です。

検定では、標本平均が帰無仮説で想定した平均からどれくらい離れているかを、標本平均の標準誤差で割って比べます。Z検定の例では、母標準偏差が分かっており、無作為・独立に選んだ標本であることを前提にします(母集団が正規分布、または標本数が十分大きい場合)。

母標準偏差が既知のZ検定

Z = (標本平均 − 仮定した母平均) / (母標準偏差 / √標本数)

2. 仮説と有意水準

検定統計量が帰無仮説のもとで起こりにくい範囲に入れば、帰無仮説を棄却します。棄却できない場合も、帰無仮説が正しいと証明されたわけではありません。検定結果は、標本の取り方やモデルの仮定と合わせて読みます。

検定の向き有意水準5%有意水準1%
両側|Z| > 1.960|Z| > 2.576
片側(上側)Z > 1.645Z > 2.326

片側か両側かは、データを見る前に対立仮説で決めます。下側の片側検定では、境界値にマイナスを付けて Z < −1.645(5%)、Z < −2.326(1%)とします。結果を見てから有利な向きに変えてはいけません。

3. Z検定の例(両側・有意水準5%)

ある試験の母平均が70点、母標準偏差が12点と分かっているとします。無作為に選んだ36人の平均は74点でした。「母平均は70点である」という帰無仮説に対し、平均が異なるかを調べます。

  1. 帰無仮説: 母平均 μ = 70。対立仮説: μ ≠ 70。
  2. 標準誤差: 12 / √36 = 2点。
  3. Z値: (74 − 70) / 2 = 2.00。
  4. 両側5%の境界1.960より |2.00| が大きいため、帰無仮説を棄却する。

この結果は「平均が70点ではないというデータが得られた」という判断です。試験の難易度や標本の偏りなど、別の要因も考える必要があります。

4. t分布とt検定

母標準偏差が分からないときは、標本から求めた標準偏差を使います。その分、標本数が少ないときの不確かさを反映するt分布を使います。標本数が増えるにつれてt分布は標準正規分布に近づきます。

対応のあるt検定

t = 差の標本平均 / (差の標本標準偏差 / √標本数)

同じ人の前後の点数など、対応する2つの値の差を1標本として計算します。自由度は標本数−1です。

8人の学習前後の差(後−前)の平均が1.25点、差の標本標準偏差が約1.04点だったとします。差の平均が0かを両側5%で調べます。

  1. 帰無仮説: 差の母平均は0。対立仮説: 差の母平均は0ではない。
  2. t = 1.25 / (1.04 / √8) ≈ 3.40、自由度は 8−1 = 7。
  3. 自由度7の両側5%の境界は約2.365。|3.40| が大きいため、帰無仮説を棄却する。

対応のあるt検定では、各人の前後の差を分析します。差の値が独立で、極端な外れ値がなく、特に標本数が少ない場合は差の分布が大きく歪んでいないことを前提にします。

段階別の練習

  1. 平均50、標準偏差5の集団で、値60のZ値を求めなさい。
    答えと解き方Z=(60−50)/5=2。平均より標準偏差2個分大きい。
  2. 両側5%のZ検定で、Z=1.80だった。帰無仮説を棄却できるか。
    答えと解き方棄却できない。|1.80| は境界1.960を超えない。これは帰無仮説が正しいと証明したことではない。
  3. 同じ生徒の検定前後の点数を比べるとき、対応のあるt検定で何を標本として扱うか。
    答えと解き方各生徒の「後−前」の差を標本として扱う。
  4. 有意水準を5%から1%に厳しくすると、両側Z検定で棄却に必要な |Z| はどう変わるか。
    答えと解き方大きくなる。両側の境界は1.960から2.576になる。

振り返り

← 前のページ 目次へ戻る →